- 【03】ESG対応物件 価格上乗せ許容率 3年連続増加
「購入費用増額を許容」が76.7%
増額許容の度合いは3~8%で半数を超える
⑧ESG対応物件の購入額
ESG対応を進めている物件の価格に対する影響を探るため、ESG対応物件の購入額の増額に対する意識を尋ねました。この結果、「意識はするが、購入費用に差が出ることは許容できない」が最も多かったものの、年々この値が減っています。この回答を除いた76.7%は、増額を許容する結果になっています。
増額の許容額については、「1~2%」が15.3%で昨年から4ポイント程度減少する一方、「3~4%」が24.1%、「5~6%」が21.8%、「7~8%」が10.0%で、この3つで全体の約55%を占めています。全体的に価格の上乗せを許容する意識が強まっています。⑨ESG投資を意識する物件
今後の不動産投資でESGを意識すると回答した人に対して、どのような物件なら意識するか尋ねました。
この結果、「ワンルーム区分マンション」が40.0%で最も高い結果でした。前年より2.2ポイント減少していますが、他の項目と比べると顕著に高い結果です。これに「ファミリー向け区分マンション」が次いでいます。
レジデンスが上位を占めていますが、「商業施設」「事務所店舗」「物流・倉庫」「一棟ビル」「データセンター」など非レジデンスの選択肢の回答比率が前年よりも増えています。
- 【04】都市政策の専門家 市川宏雄所長による分析結果統括
行政の気候変動の取組み本格化や省エネの必要性が身近になり
不動産においても「気候変動」がキラーフレーズに 世の中で環境問題への意識が高まる中で、「ESG」という言葉が不動産投資家に浸透してきている様子がうかがえます。認知度もその重要性に対する意識も2年前は四分の一であったのが、現在は三分の一に増えています。不動産のESG投資がなぜ重要なのかは「中長期的な資産価値の維持に寄与する」「賃料収入などリターンに好影響をもたらす」という回答が5割前後を占めていることから分かるように、環境配慮をした不動産は価値が高まるという世界の常識が日本でも受け入れられつつあります。
こうした意識の変化の背景にあるのが、東京都が新築戸建の屋根に太陽光発電設備設置を義務付けるなど、行政の気候変動への取り組みが具体化してきたことや、ウクライナ危機に端を発したエネルギー価格の高騰による省エネの必要性が身近なものになっていることがあげられます。それまで、ESGは地域社会・経済への寄与や、健康性・快適性に意味があるとの認識が多かったのに比べると、「気候変動」は人々に訴えるキラーフレーズであることが分かります。
では、不動産投資でESGを意識するにあたって、どのくらいの費用増を許容するかですが、1%~8%が全体の約55%を占めています。以前よりは価格負担を受け入れる姿勢は見えていますが、それでも一割以内と答えるのは、ESG配慮によって具体的にどれほどの付加価値があるのかが分からない中では仕方がないとも言えます。また、ESGを意識する物件として、マンションに加えて商業や事務所、物流倉庫など非レジデンス系の施設にも目を向け始めていることが分かりました。
第3回 不動産投資オーナーのESG意識調査~ESG物件の価格上乗せ許容度が向上~ #ESG投資 #不動産投資
2023年2月28日
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