「独身だけど自分の家が欲しい。」「家賃を払い続けるのはもったいない。」そう考えるシングルが増えているそうです。一方で、「そうは言っても先立つ物が。」「この先何十年もローンが払えるんだろうか？」そんなお金の不安もついて回ります。築古の空き家を買ってリノベすれば、新築と比べて低コストで家が手に入る、と言われています。そうはいっても空き家って怖い、と二の足を踏む人も多いのではないでしょうか。
そこで、空き家をリノベしようか？と悩んでいる方に少しでも参考になればと、この記事では普通の独身サラリーマンが空き家を買ってリノベした経験から、実際に何をして何を考え、結果どうなったかを紹介しようと思います。
前回の記事
第５０回 日本の家は寒い
地震で家が壊れると
「持ち家で災害で家が壊れて資産を失うリスクがあるので、賃貸の方がいい。」
という意見を耳にすることがあります。
その考え自体は間違いではありません。ただ、賃貸住宅にも倒壊のリスクがあることや、家の壊れやすさ等、他の視点も考えてみた方がいいとも思います。
地震で家が壊れると、新たに住むところを探さなければいけません。これは、持ち家であっても賃貸であっても同じことです。それに加えて、持ち家で住宅ローンが残っていると、それは払い続けなければいけません。新居の家賃もしくはローンと壊れた旧居のローンを２重に負担しながら、生活再建をするのはとても大変なことと思います。一方で、賃貸であればアパート・マンションが壊れて住めなくなったら、その時点で旧居の家賃は不要になりますから、２重の負担をせずにすみます。確かに、この面では賃貸の方がいいという考えは正しそうです。
地震で壊れなかった家の家賃は上がる
では、地震で家が壊れなかったらどうでしょうか？
周囲で壊れてしまった家が多くあると、そこに住んでいた人は新居を探さなければなりません。そのため、壊れずに残っている賃貸住宅には入居希望者が殺到します。そうなると、大家としては少しでも高く貸したいので空室の募集賃料を上げることになります。そうやって周辺の賃料相場が上がっていくと、既に借りている人の家賃も更新の際にプラス改定される可能性が高くなります。
なんだか、被災者の足元を見ているようで理不尽な気もしますが、物の価値を考えれば仕方のないことです。「地震に耐えられるか分からない家」と「大地震に耐えた家」を比べて、どっちが価値があると思いますか。分からないというリスクを抱えているよりも、実際に耐えたという実績を持っている方が価値があります。
実際に東日本大震災の際に、仙台市の賃料相場は震災前と比べて上昇傾向にあったそうです。
一方で、持ち家に住んでいる場合はどうなるかというと、家が壊れなかったのでそのまま住み続けられます。ローンの負担が増えたりはしません。なので、家が壊れなければ持ち家の方が得ということになります。リスクが大きい分、メリットもあるのです。
賃貸住宅の耐震性 気にしてますか？
家を買う場合、その家の耐震性を気にしない人は日本人であれば滅多にいないと思います。一方で、賃貸住宅を選ぶ際に、そのアパートやマンションの耐震性がどれくらいか？きちんと確認する人の方が少ないと思います。恥ずかしながら、私も貸家住まいの当時は、アパートの耐震性なんて考えもしませんでした。
入居者が建物の耐震性に興味がないので、きちんと耐震補強してある建物に人気が集まって賃料が上がることもありません。大家も商売ですので、賃料に反映しない投資はなかなかされず、結果的に持ち家よりも賃貸住宅の方が、耐震性に劣る可能性が高くなります。
家が壊れた場合を心配するのも大切ですが、もっと重要なのは家が壊れないことです。その意味では、巨大地震を心配するのであれば、素性の確かな耐震性の高い家を選ぶことの方が、持ち家vs賃貸よりも、よっぽど大切なのではないでしょうか？
過去の記事
第４８回 足元はどれくらい冷える？
第４９回 リノベでIoT住宅に？
第５０回 日本の家は寒い
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