リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022総合グランプリが決定|株式会社モリタ装芸「総二階だった家(平屋)」リノベーションの対象となった素材は、空き家になっていた築47年の両親の家。 #リノベーションオブザイヤー #空き家 #古民家 #リノベーション

目次

2022年を代表するリノベーション事例が決定!

一般社団法人リノベーション協議会(東京都渋谷区・理事長:山本卓也)は、2022年を代表する魅力的なリノベーション事例を選ぶコンテスト「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022」(選考委員長:リノベーション協議会 発起人 島原万丈)の授賞式および選考委員による講評会を12月6日(火)に東京大学本郷キャンパス内にて開催し、株式会社モリタ装芸「総二階だった家(平屋)」が総合グランプリを獲得した。

 本コンテストでは、消費者にとって関心の高い施工費別に「500万円未満部門」「1000万円未満部門」「1000万円以上部門」「無差別級部門」の4部門を設けています。全国からエントリーされた計260作品を、リノベーションの楽しさ・魅力・可能性という点にフォーカスしてSNSを活用した一般ユーザーの声を取り入れ一次審査をし、64作品をノミネート選出。その後、住宅系を中心としたメディアの編集者9名で構成された選考委員によって最終選考を実施し、総合グランプリ、部門別最優秀賞4点、特別賞14点を決定しています。
受賞作品:https://www.renovation.or.jp/oftheyear/award.html

  • 受賞作品一覧

■総合グランプリ

 「総二階だった家(平屋)」 |株式会社モリタ装芸
https://www.renovation.or.jp/app/oftheyear/2022/1530

選考委員長講評(島原万丈/LIFULL HOME’S総研 所長)
 この作品は、今日的な社会課題に対してリノベーションの持てる力をフルに発揮し正攻法で向き合った、正統派ストロングスタイルのリノベーションだ。
 リノベーションの対象となった素材は、空き家になっていた築47年の両親の家。言うまでもなく全国的に深刻化する空き家問題の核心である。総二階建ての建物をダルマ落としの要領で平屋にし、床面積を半分に減築したリノベーションは、世帯あたりの同居人数の縮小や高齢化という人口動態の変化にも対応しており、これからの戸建てリノベーションの一つの流れになる予感がある。というのも実は今、平屋は隠れたブームなのだ。新築の戸建て住宅市場で平屋の着工棟数はこの10年で2倍に増加しており、2021年度の着工統計では新築戸建て住宅に占める割合は約13%、大手ハウスメーカーに限れば約20%に達している。「LIFULL HOME’S 住まいのヒットワード番付 2022」でも前頭として平屋が選ばれている。
 この作品を正統派ストロングスタイルだと評したのは、確かな技術力に裏打ちされた誠実な仕事ぶりを感じるからだ。たとえば、まずインスペクションと耐震診断で改修すべき箇所を明確にした上で、建て替えとリノベーションの両案を検討して計画に着手したこと。さらにリノベーションにあたっては高い水準で性能向上を実現したこと。具体的には減築と軽量化で耐震性能を確保し(欲を言えば耐震等級は3を目指したい)、断熱性能は当地でのZEH基準を上回るUa値0.44を達成。これにより長期優良住宅の認定を受け、補助金で施主の負担軽減にも貢献している。そして外観も内部空間も劇的に変わってはいるものの、現代的な空間の中に古い柱を意匠として取り込むことで愛着ある実家の思い出を留めたデザインも巧みだ。南側の庭に面した大開口部に設けた深い軒は、夏の日射遮蔽をしつつ、上品な別荘のような落ち着いた風情を醸し出している。2022年時点で考えうる戸建リノベーションの一つの到達点として、記念すべき10周年の総合グランプリにふさわしい作品であった。なお森田装芸は初のグランプリ受賞である。

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