京都府福知山市に位置する旧細見小学校中出分校で、10月14日に「大阪・関西万博 テーマ事業河瀨館『いのちのあかし』 福知山市旧細見小学校中出分校 校舎出発セレモニー」が行われました。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、廃校となった旧細見小学校中出分校の校舎等が活用され、河瀨直美テーマ事業プロデューサーが手がけるシグネチャーパビリオン「いのちのあかし」が建設されます。
セレモニーのハイライト
小学校の卒業生や元教師ら地元関係者の前で、、福知山市長や大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサー、河瀨直美氏が挨拶。大阪・関西万博公式キャラクターの「ミャクミャク」が見守る中、中出分校の通学エリアの子どもたちが、感謝の気持ちと新しいスタートへの期待を託した校舎の「卒業証書」を河瀨プロデューサーに渡しました。
卒業証書 旧細見小学校 中出分校 殿 長い間、たくさんの小学生を見守ってくれてありがとう。 大阪・関西万博のパビリオンに生まれ変わり、 世界中の人に感動を与えてください。 ご卒業おめでとうございます。 令和5年10月14日福知山市 西松・田ノ谷・中出 住民一同 |
更に、河瀨さんから子どもたちにサプライズギフトとして、校舎前にあるイチョウの葉をデザインに使用したメッセージカードが贈られました。その後、参加者たちが感謝や期待を込めて「お別れメッセージ」をパネルに記入。パビリオンに生まれ変わる旧細見小学校中出分校に向け、書かれたメッセージには、「温かい思い出をありがとう」や「多くの方々にこの場所を知ってもらいたい」という言葉が並びました。セレモニーのクライマックスでは、メッセージを詰め込んだパネル、歴史ある校舎、そして目を引くイチョウの木を背景に全員での記念撮影が実施されました。地域の絆や校舎への愛情が河瀨プロデューサーへと継承され、会場には多くの笑顔とともに新しい始まりへの期待感が溢れていました。
今後、この歴史ある校舎は大阪・夢洲にて、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちのあかし」へと再構築され、新しいステージでの活躍が期待されています。
コメント
■大橋一夫福知山市長からのコメント
中出分校は、昭和5年の校舎建設以来、戦中・戦後の激動の時代を経て、数多くの子どもたちを見守ってきました。また、地域住民の皆様の多大なご協力も得て建設された「地域のやさしさ」の詰まった校舎です。
地元の山と川、そして子どもたちとともにあった中出分校は、この後大阪市夢洲に移され、日本のみならず海外からも多くの方が来場される万博のメイン事業であるシグネチャーパビリオンに生まれ変わります。
河瀨プロデューサー様をはじめ、テーマ事業河瀨館「いのちのあかし」の関係者の皆様におかれましては、分校の新たな旅立ちへの感謝と期待を込めた、子どもたちからの「卒業証書授与」や地域住民の皆様との交流を通じ、中出分校に刻まれた地域、卒業生、学校関係者の皆様の思いを感じ取っていただければ幸いです。
■河瀨直美プロデューサーからのコメント
この校舎がメインシアターになり、河瀨パビリオンのメインコンテンツ「対話シアター」が会期中、繰り広げられます。対話できる相手は、お互いに全く知らない国籍や人種、文化の異なる人で、“毎日、人類史上はじめての対話”が生まれる場所になります。
建物は昭和初期より時代を超えて、人々に共有されてきた記憶が宿る美しい佇まいで、初めて訪れたときには、昔からここを知っていたかのような懐かしさを感じさせてくれました。河瀨パビリオンでは奈良県吉野郡十津川村の校舎も使用しますが、ほかの校舎と合築するのではなく、それぞれの校舎を今回のパビリオンの用途に合った形に手を加え、新しい価値を持つ建物として生まれ変わらせるようなイメージです。そして校舎に寄り添うように植えられ、ここで学んだ子どもたちと共に成長した銀杏も、そのいのちをつなぎ、万博会場へ持っていきます。
かつての小学校が、2025年大阪・関西万博のショーケースに
福知山市三和町中出地域に位置する旧細見小学校中出分校は、かつて周辺地域の子どもたちが学ぶ場として賑わっていました。昭和5年(1930年)の創立以来、中出、西松、田ノ谷の地域に住む1年生から2年生までの児童が通う、木造平家建ての暖かい雰囲気の校舎でした。しかし、平成14年(2002年)にはその役目を終え、閉校となりました。
しかしこの度、この懐かしい雰囲気を持つ木造校舎と、廃校を有効活用する方針を持つ福知山市の取り組みが高く評価され、2025年の大阪・関西万博の「シグネチャープロジェクト」の一環として、「いのちのあかし」というテーマでの対話シアターのパビリオンとして採用されることとなりました。
シグネチャーパビリオン 「いのちのあかし」とは?
シグネチャーパビリオン(※注1)「いのちのあかし」河瀨館は、対話を通して人種、宗教、文化の違いを理解し、それらを乗り越えることを目指す場として設計されています。福知山市にある旧細見小学校中出分校は、この万博の一環として、世界中の人々が集い、互いの考えや文化を共有し合う「対話シアター」へと生まれ変わります。
旧細見小学校中出分校は、昭和5年(1930年)から平成14年(2002年)まで73年間にわたって地域の学び舎として親しまれてきました。校庭で行われる校舎出発セレモニーを経て、この建物は夢洲会場へと移り、「想い」と共に歴史を紡ぎ続け、大阪・関西万博において新たな役割を果たします。
※注1…テーマ事業は大阪・関西万博を象徴・代表する事業であり、8名の専門家がつくるパビリオンは、テーマをそれぞれの哲学から語り深める「署名作品」でもあることから、「シグネチャーパビリオン」と名付けられました。8名のテーマ事業プロデューサーが大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を、それぞれ固有の観点から解釈、展開し、未来に生きる人々に繋ぎ渡すパビリオンです。
プロフィール 河瀨直美さん(映画監督)
2025年大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー(シニアアドバイザー兼務)
カンヌ国際映画祭グランプリをはじめ、世界各国の映画祭で多数受賞しており、国内外で高い評価を受けている。代表作は、『萌の朱雀』『殯の森』『2つ目の窓』『あん』『光』『朝が来る』など。故郷・奈良にて「なら国際映画祭」を立ち上げ、エグゼクティブディレクターとして後進の育成にも力を入れる。また、東京2020オリンピック公式映画総監督、バスケットボール女子日本リーグ会長、国連教育科学文化機関UNESCO親善大使を務めている。
今後のスケジュール(予定)
中出分校のパビリオン活用に関するスケジュールは、以下のとおり予定しています。
2023年10月~ 建物の解体・移設
2024年1月~ 夢洲での施工(予定)
2024年4月 現在地での移設完了
2025年4月~ 大阪・関西万博 開催
福知山市の廃校活用事例
京都府福知山市は、少子化により統廃合を行った小学校(廃校)を、民間事業者の力で活用し、地域に再びにぎわいを取り戻す取組を積極的に行い、16校発生した廃校のうち半数以上が新たな施設として再スタートを切っています。今回は、全世界に向けたプロジェクトで、福知山市の廃校が活用されることになりました。
○旧 中六人部小学校 → THE610BASE(イチゴ体験施設)
・・・地元の総合電機設備会社・井上株式会社による、地域貢献型新規事業 https://fields-the-base.jp/
○旧 精華小学校 → ぐるーぷほーむ森の家(グループホーム)
・・・廃校のグラウンドを活用したグループホーム https://www.nakaji-morinoie.com/
○旧 佐賀小学校 → 里山ファクトリー(お菓子の製造・販売・商品発送拠点)
・・・首都圏にも店舗を持つ、地元の洋菓子店・足立音衛門の新拠点 https://www.otoemon.com/
○旧 川合小学校 → 旧川合小学校(名称考案中)
・・・「福知山 里キャンプ場」をはじめとする地域交流のためのサブリース施設 https://kawai-kyoto.co.jp
○旧 天津小学校 → S-LAB(エスラボ)
・・・人口芝のサッカーコートを中心とするスポーツ施設 https://www.s-lab.kyoto
○旧 公誠小学校、北陵中学校 → SOMABITO NORTH HILLS キャンプ場
・・・奥京都発アウトドアブランド「SomAbito(ソマビト)」が運営するキャンプ場 https://somabito.info
○旧 菟原小学校 → ㈱京繊 福知山商品管理物流センター
・・・創業明治33年、卒業式の袴レンタルトップ企業の商品管理物流センター https://www.saganokan.com