代表メッセージ:株式会社山翠舎 代表取締役 山上浩明
私には、大人になっても忘れられない社会見学の思い出があります。故郷・長野県にあるパン工場を訪ねた時のことです。長野県ではお馴染みの「牛乳パン」が出来上がるまでの工程をそこで見学しました。学校の教室では見ることができない、目の前でリアルにモノが出来上がっていく光景に心が動きました。その感覚は、今でも胸に刻まれています。子どもの感受性は豊かです。子どもの頃に受け取ったその気持ちは、大人になっても心のどこかに残り続けるものです。
そんな子どもたちに、古民家や古木の魅力をぜひ知ってほしいのです。課題に関するクイズやその解決例が展示された展示スポットを通じて、一緒に楽しみながら、日本の建築のあり方、歴史の含みを感じてもらいたいのです。私たちの身のまわりには、古民家というこんなにも素晴らしいものがあるということを知ってもらい、そしてできるなら、その古き良き財産を、今生きている自分たちがどのように活かしていくことができるのか、山翠舎のこれまでの取り組みに触れることで、一緒に考えてくれたら嬉しく思います。
子どもが受け取った情報は周りの大人へと伝わってきます。お子さんを通じ、古民家や古木の魅力に出会った親御さんたちに、お願いしたいことがあります。ぜひ古民家や古木を活用したお店を一度訪ねていただきたいのです。木の温もりのある素敵な空間で、お店の美味しい料理を食べ、くつろいだひと時を過ごしてもらう。それだけでいいのです。それだけで、「古民家を残し、持続可能な経済を循環させ、職人の技術を未来へ繋げる」アクションに、あなたが参加してくれたことになるからです。
今回の展示を機に、多くの人たちが古民家や古木の価値に気づいていただけることを願っています。
山翠舎の取り組み紹介
全国に存在する21万戸とも言われる古民家の空き家は、2033年までに50万戸へ増加すると予測されています。現在、これらの空き家は取り壊され、貴重な資材も廃棄されることが多いのが現実です。
これらの古民家は、日本の伝統や職人の技術、そしてその土地や住んでいた人々の歴史と文化が詰まっています。特に、百年以上もの時間を経て強度を増してきた古木は、新しい木材よりも高い品質を持っています。それほどの価値を持つ古民家を破棄することは、社会的・文化的にも大きな損失です。
山翠舎はこの問題への対策として、古木の買取、それを利用した店舗やオフィスの設計施工、そして古民家のサブリースの3つの事業を展開。これまでに、古木を再利用した施工を500件以上手掛け、空き家の古民家をシェアオフィスとして再生するなどの実績を持っています。今後は、日本の伝統と古木の魅力を世界に発信し、さらなる事業展開を目指しています。
この取り組みは、単に文化的価値の保存だけではなく、古民家や古木の再利用を増やすことで環境負荷を減少させ、SDGsの達成にも寄与するものです。さらに、古民家を活用したホテルや飲食店などの事業を通じて、地域活性化にも貢献。古民家を核とした持続可能なまちづくりの可能性を広げています。
(※古木:戦前に建てられた民家から得られる木材。いずれも山翠舎の定義。)
⚫︎詳細
展示場所:キッザニア東京
住所:東京都江東区豊洲2-4-9 アーバンドック ららぽーと豊洲1 ノースポート3階
展示期間:2023年10月10日(火)〜