沿線まるごと株式会社は、鉄道沿線に点在する空き家を再生してホテル客室として利用し、その沿線全体をまるでホテルのように利用するという取り組みを始めました。この斬新なアイディアは、JR青梅線の沿線自治体や地域住民との共同でサービス開発が行われ、2021年の実証実験では良好な評価を受け、事業化の道を進んでいます。
空き家の活用と地域活性化
地方都市や農山漁村の過疎化は深刻化しており、JR東日本スタートアップ株式会社としても、生産年齢人口減やコロナ禍による地域への送客量減の課題に対応する必要がありました。そこで考案されたものが、「沿線まるごとホテル」。沿線まるごとホテルのコンセプトは、無人駅をホテルのフロントとして使用し、空き家を客室に改修することで、地域全体をホテルとして利用するものです。これによって地域の魅力や価値を再認識し、過疎化や高齢化が進行する地域を再び活気づけるとともに旅行者に全く新しい体験を提供することができます。
代表者のコメントから見える熱意(出資先企業)
沿線まるごと株式会社代表取締役 嶋田 俊平氏コメント
沿線まるごとホテルは、ある種の「妄想」とも言えるアイデアから生まれた事業でした。無人駅をホテルのフロントに見立て、空き家を客室へと改修し、地域の方々がコンシェルジュとなってお客様をお迎えすることで、鉄道沿線がまるごとホテルになったような世界観をつくっていけるんじゃないか、そして、過疎高齢化で衰退の一途をたどる農山村を元気にしていけるんじゃないか。そんな妄想が、「JR東日本スタートアッププログラム2020」でのPoC(概念実証)を経て、「現実的な計画」になってきた一方で、客室整備の資金確保など、「現実的な課題」にも直面していたところでした。そうした中で、この度、JR東日本ローカルスタートアップ合同会社からの出資を頂き、「現実的な事業」への道を固めることができました。あとはやるのみ。沿線活性化の新しい成功モデルをつくります。
と、「沿線まるごとホテル」のコンセプトを「妄想」と称しながらも、その妄想が現実的な計画に変わりつつあること、また、JR東日本ローカルスタートアップ合同会社からの投資を受けて、事業の具体化がより進むことへの意気込みを語っています。
JR東日本ローカルスタートアップ代表 柴田 裕氏コメント
この事業は、JR東日本スタートアッププログラム2020でのPoCから始まりました。 無人駅でチェックイン、沿線の空き家がホテル客室に、地域住民と一緒にお客様をおもてなしする。それはこれまでに類のない、地域の魅力を再発見する新しい旅のカタチでした。この新しい旅をもっとたくさんの人に体験してほしい。そんな思いから立ち上がったのが「沿線まるごと株式会社」です。もしかしたら、そのときから私たちのローカルスタートアップへの挑戦が始まっていたのかもしれません。「スタートアップ×JR」でつくり上げる地域活性化の新しい形、今回のパートナーシップを機に、これをさらに進化させていきたいと思います。
ABAKAM社代表 松本直人氏コメント
沿線がまるごとホテルになる。沿線に住んでいる方々がキャストとなり、来客と一緒にそこでしか体験できないストーリーを紡ぐ。まるで三谷幸喜の台本を読んでいるような世界観を実現する同社のサービスはプライスレスであり、旅を終えた後も第二の実家のような関係が続くことでリピートしたくなる強固なビジネスモデル。
JR東日本スタートアッププログラム
ベンチャー企業や様々なアイディアを有する方々から、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、ブラッシュアップを経て実現していくプログラムです。2017年度に初めて開催し、これまでに計111件の提案を採択。鉄道事業やIT事業など幅広い分野の実証実験を行い、一部の取組みは実用化にいたりました。
【会社概要】
沿線まるごと株式会社
所在地:東京都西多摩郡奥多摩町棚澤390
代表者:代表取締役 嶋田 俊平
設立:2021年12月3日
事業内容:
・地域観光事業(地域ガイド運営・地域体験運営)
・小売り・eコマース事業(地産品販売)
・その他サービス事業(伴走型地域課題解決コンサルティング)など
URL:https://marugotohotel-omeline.com/
JR東日本ローカルスタートアップ合同会社
所在地:東京都港区高輪2-21-42 TokyoYard Building 7F
代表社員:JR東日本スタートアップ株式会社
設立:2023年4月6日
事業内容:ローカルスタートアップ企業への出資及び当社グループとの協業推進