【福島市鎌田】空き家の一軒家とアパートを民泊施設とサウナ小屋へ。一軒家の民泊施設「昭和の家ume(うめ)」をオープン。

【創業の経緯と福島・鎌田の民泊施設】

静かな住宅街、福島市鎌田にある一軒家を改装した民泊施設「昭和の家ume」が、地域の新しい風景として立ち上がりました。オーナーである浪木克文さんは、2021年3月にこの一軒家を購入し、東京からここ福島市鎌田へと移住。その敷地内に空き家の一軒家とアパートがあったことから、これらの建物を改修し、同年9月には「昭和の家ume」をオープン。以来、観光客や地元の人々から愛されるスポットとなっています。

浪木さんが民泊事業を始めたきっかけは、この土地の可能性にあった。「敷地内に広い駐車場兼広場があり、地域の人々と宿泊者が交流できる空間が作れると思い立ったんです」と振り返る浪木さん。空き家となっていた一軒家とアパートを見て、地域とつながりの深い施設として再生するアイデアが浮かんだのです。

【民泊施設の魅力と受け入れられる背景】

「昭和の家ume」の成功を受けて、新たに「昭和の家anzu」が2023年7月1日にオープンします。これは、同じく敷地内にあったアパートを改修したもので、最大6人の収容が可能です。1階には自由に利用できるキッチン、シャワールーム、そして交流スペースを設け、2階を寝室としています。

一軒家とアパートの改修を通じて、浪木さんが醸し出すのは「昭和レトロ」な雰囲気。その落ち着いた空間は、利用者から大変好評で、「リピーターが増えている」と浪木さん。利用者は日本人が3割、外国人が7割と、観光はもちろん、県外からの冠婚葬祭の宿泊拠点やペットとの宿泊など、さまざまな目的で訪れています。

【新たなコミュニティ形成の場として】

また、敷地内には「五右衛門風呂」があった場所に新たに「サウナ小屋goemon」を設けるなど、民泊施設としてだけでなく、地域のコミュニティ形成の場としても注目を集めています。これは、駐車場と広場の二つの機能を兼ね備えているからです。

また、NPO法人「きっかけ食堂」の福島拠点としての運営も始まりました。このNPOは東日本大震災を風化させないため、毎月11日に全国各地でイベントを開催。東北の食材を使った料理や酒を提供し、東北や震災について考えるきっかけを提供しています。今後は3カ月に1度、11日のイベントで福島県を特集し、同施設を拠点とした福島県へのツアーも予定しています。

【浪木さんの展望】

浪木さんは展望について問われると、「2棟合わせて10人ほどの団体受け入れも可能になるので、民泊施設としてさらに幅広い用途で使ってもらえるのでは」と期待を込めます。また、新たにオープンする「昭和の家anzu」に関しては、「アパートだった建物を利用して民泊施設として再生させることで、空き家問題に一石を投じることも目指しています」と力説します。

利用料金は、’anzu’が2万円から、’ume’が1万4,000円からとなっています。また、新設されたサウナ小屋「goemon」のプライベート利用(2人)は、3時間で4,000円からとなっています。

こうした一連の取り組みから見えてくるのは、空き家という存在を地域のコミュニティや観光資源として再定義する浪木さんの独特な視点と、その行動力です。福島市鎌田の閑静な住宅街から生まれたこの新たな動きは、空き家問題を抱える他の地域にも示唆を与えることでしょう。

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