相続などによって突然手に入ると、どう活用していいのか分からない空き家。
せっかくの資産なので、収入につながる活用をしたいが、どのように収益に結び付けるかアイデアが無い人もいるでしょう。
空き家は居住用の賃貸として活用する以外にも、多様な手段があります。近年増加しているシェアハウスやサテライトオフィスなどが、ビジネスの具体例として考えられます。
今回は、空き家をビジネスとして活用する方法を具体例も交えながら解説します。
空き家の活用方法を知ることで、収益の幅を広げましょう。
空き家を活用するメリット
空き家は上手く活用することで、収益源とすることが可能です。ビジネスとして人に貸せると、不労所得として毎月の家賃が期待できます。
また、資産価値が比較的安定している点も魅力です。
株式投資は予期せぬ経済状況の変動によって、大きく株価が下落することが考えられます。新型コロナウィルスの感染拡大によって、世界的に株価が大きく下落した例もあります。
しかし、不動産は株式と比べると適切に管理をしていれば、安定した資産価値を保つことが可能です。
空き家を活用しないと維持費用だけが発生する
空き家を活用せずに放置していると、次のようなおおよその維持費用が発生します。
項目 | 費用/年 |
---|---|
固定資産税 | 数万~数十万円 |
都市計画税 | 数万~数十万円 |
火災保険 | 数万~数十万円 |
光熱費 | 数千~数万円 |
修繕費 | 数万~数百万(業者へ依頼する度) |
その他維持費 | 状況による |
上記以外にも、管理の度に空き家までの移動や清掃、作業の立会いなど想像以上に労力がかかってしまいます。
空き家をビジネスとして活用する方法4選
具体的に空き家をどのようにビジネスとして活用できるのか、そのアイデアを4つ紹介します。
- シェアハウス
- 民泊
- サテライトオフィス
- コワーキングスペース
それぞれの解説と、メリット・デメリットをお伝えしていきます。
シェアハウス
シェアハウスとは、一つの物件に親族でない人同士が共同で生活する住宅です。リビング、キッチン、トイレ、洗面所などを共用として、生活ルールを設けたうえで生活します。
国内のシェアハウス市場は、物件数4,867棟、部屋数56,210室と増加傾向にあると、日本シェアハウス連盟が行った「シェアハウス市場調査2019年」によって分かっています。今後もシェアハウス需要は増加していくと考えられていますので、ビジネスチャンスが期待できるでしょう。
メリット
- 高い収入が見込める
シェアハウスは、アパートよりも高い収益が見込ます。同じ面積だとすると、キッチンなどを共用部とすることで、部屋数を増やせるからです。 - 空室リスクを避けられる
シェアハウスとすることで、家賃収入が途絶えるリスクを減らせます。もし一軒家として貸し出すと、入居者がいない期間は家賃収入がゼロです。しかし、シェアハウスにすることで退去者が出ても、他に入居している人がいる限り収入を得られます。
デメリット
- 住民同士のトラブル
シェアハウスは共用部が多く、いくらルールを決めていたとしても住民同士のトラブルが考えられます。部屋が分かれているアパートやマンションよりも苦情を受けることは多いでしょう。
もし外国人が利用する場合は、よりルールの周知徹底が必要です。 - 管理方法が複雑
シェアハウスの運営管理方式には自主方式、委託方式、サブリース方式があります。それぞれの形態によって、誰がどのような契約を行うのか異なります。また、運営中の管理業務を行う主体も変わるため、事前に運営管理方式を決めておかなくてはいけません。
民泊
民泊とは、個人の住宅をそのまま宿泊施設として利用することです。主に外国人旅行客の利用が多いため、インバウンドの需要が回復してきているなか、立地によっては有力な候補となるでしょう。
従来は民泊として運営するにあたり、さまざまな条件や許可が必要でした。しかし、2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」によって、個人でも簡単な手続きで民泊経営が可能となります。
メリット
- 少ない初期費用で始められる
空き家の状態が悪くなければ、民泊として最低限のクリーニングやリフォームで始められます。民泊利用するためにはキッチン、浴室、トイレ、洗面設備が整っていればよく、基本的に空き家であれば揃っていることが多いため、条件はクリアできるでしょう。 - 資産価値が高まる
もし民泊として収益が成り立つのであれば、資産価値の向上につながります。居住用不動産の場合、築年数や物件の状態から値段が決定されます。しかし、事業用不動産であれば、収益性も大切なポイントです。民泊として宿泊料が得られているならば、築年数が古くても居住用より高い値段で売却することも考えられます。
デメリット
- 年間の宿泊日数が180日まで
「住宅宿泊事業法」によって営業が許可されているのは、年間で180日間です。もし、その日数を超えてしまうと「旅館業法」の対象となります。そうなると地域によっては、宿泊施設を認められていない用途地域であったり、必要な設備条件が厳しくなったりします。もし営業日が180日を超えそうであれば、時間貸しにするなどの戦略が必要でしょう。 - 外国人の対応が必要になる可能性がある
国内で民泊を主に利用するのは、外国人である傾向があります。その際にはルールをしっかりと伝えないといけません。文化の違いで悪気がないにも関わらず、トラブルに発展する恐れがあります。旅行客であった場合は、その後の連絡手段なども確保しておくと良いでしょう。
サテライトオフィス
新型コロナウィルスによって、テレワークなど新しい働き方が広まっていますが、その一つにサテライトオフィスの利用があります。サテライトオフィスとは企業の本社や営業所とは別の、離れた場所に位置する最低限の設備を整えたオフィスです。企業にとっては、従業員の柔軟な働き方や地域との新たなビジネス創出などといった効果が期待されています。
メリット
- 自治体も力を入れている
サテライトオフィスがその地域に設置されることは、地域にもメリットがあるため、自治体として力を入れているところもあります。空き家が活用できることはもちろん、移住者の増加、雇用創出など地域の活性化が見込めます。自治体によっては、ネット環境を整える費用に助成金を出す地域もあるため、空き家を活用したい人にとっては追い風となるでしょう。 - 管理の負担を軽減できる
サテライトオフィスとして利用することで、定期的に利用者が訪れます。そのため、所有者が行っていた物件の管理負担を軽減することが可能です。
また、設備にトラブルがあった際にも利用者がいることで、すぐに対応できます。
シェアハウスや民泊と異なり、企業が利用することになるのでトラブルが少ないことも考えられるでしょう。
デメリット
- 立地によって需要が変わる
企業がサテライトオフィスを利用するときは、従業員の通勤時間軽減につながるか、その土地にオフィスを構えることでメリットがあるかを重視します。そのため、アクセスが悪いと需要がないことも考えられます。 - 設備に費用がかかる
オフィスとして利用するのであれば、ネット環境を整えなくてはいけません。自治体の助成金がないと、自分で設備を用意しないといけず、初期費用がかかる可能性があります。またIT機器はメンテナンスやアップグレードが必要になることも考えられるので、この点も意識して運営しなくてはいけません。
コワーキングスペース
コワーキングスペースとは、さまざまな人が利用できる共用の作業場というイメージです。サテライトオフィスが企業の利用であったのに対して、コワーキングスペースはフリーランスやノマドワーカーなどもターゲットです。
コワーキングスペース内において、他業種の人とコミュニケーションを取り、新たなビジネス創出につながるきっかけにもなります。
メリット
- 需要増加が見込める
ザイマックスの「フレキシブルオフィス市場調査2021」によると。コワーキングスペースを含めた東京23区の「フレキシブルオフィス」は、2015年時点で119件であったのに対し、2020年には571件にまで増加しています。国内のフリーランス増加に伴い、今後もコワーキングスペースの需要は増加していくとみられます。 - 地方や郊外のニーズもある
コワーキングスペースの需要は、場所を選ばずに働けることに由来します。都内だけでなく、地方や郊外でもパソコンさえあれば働ける人にとっての需要は十分に考えられます。まだ競合がいないエリアでも、活用できる可能性があるので、調べてみる価値はあるでしょう。
デメリット
- ノウハウが少ない
コワーキングスペースは日本でもまだ新しい形態です。どのような場所に、どのような設備を整えればよいのかといったノウハウが溜まっていません。自分で需要や、運営のシミュレーションを立てる必要があります。 - 運営方法を決めなくてはいけない
コワーキングスペースとしての利用は、主に会員制か時間貸しです。どちらで運営すると、どのくらい収益が見込めるかなどの収支計算をしなくてはいけません。会員制にすれば安定した収益を見込めますが、定期的に利用する人がいないと会員にはなってくれません。立地が影響するポイントですので、需要に合った戦略をとりましょう。
空き家は多様なビジネスの可能性を秘めている
今回は空き家をビジネスとして活用する方法と、その具体例を解説しました。
空き家の活用方法には迷ってしまうかもしれません。しかし、近年は多様なニーズが存在します。特にワーケーションやサテライトオフィスなど、新しい働き方が普及していることで、都心部だけでなく地方にもニーズがあります。
せっかくの資産なので、維持費だけを払うといったことはせずに、収入源として空き家のビジネスを始めましょう。