【アキヤリノバコラム】一人一軒！第4話北海道　札幌（地下鉄エリア）その2　各駅各エリアの住みやすさと仕事。南北線/東豊線/東西線

春が近づいてきましたが、暖かい陽気だけではなく時たま冷え込んだりとまだまだ油断ならない時期です。
毎週枕（本文の前に書く導入）を考えるのも割と大変なんですよ、と週刊連載していた過去を思い出しております。

時期的にも雪の問題も片付いたことですし、今のうちに北海道の札幌・地下鉄エリアを追い込んでいきましょう。
冬のことは年末に後回しです。

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地下鉄3種類、アナタはどれを選ぶ？

南北線（5000形）

札幌エリアの地下鉄沿線で住む場所を探しましょう、というのは前回の札幌記事でお伝えしたとおりですが、札幌市の地下鉄は３つ通っており、それぞれ特徴があります。

路線図だと横方向に走っているように見えて、札幌市の区分け地図で見るとちゃんと南北に走っている南北線、

ものすごく圧縮されている地域の中で複雑な区の地形を縫いながら、実は東区を走っていないというトリビアを持つ東西線。

一番長くルートが設定されており、我が道を行くルート設定と駅前エリアの発展が個性的な東豊線と、見ていくとそれぞれ傾向があります。

走っている路線によってエリアが分かれるので、市内の区分けをしながら、各路線の駅情報をお伝えしていきます。

南北線：北区（麻生北34条北24条北18条北12条）

北区の駅は北＋数字＋条という名前と、碁盤目状に作られている町並みが特徴的で、地元民でなければ混乱しそうですが、数字が少ないほど中心街に近いと覚えてください。

南北線の北になる北区は麻生（あさぶ）が始発駅ということもあり、座って移動できることと駅前の充実度からかなり人気の駅です。賃貸だけでなく空き家の集合住宅、一軒家ともに北区で多く物件が取引されているうえで、空き家の数が少ないことが特徴的ですが、中でも麻生は中古住宅と新築の値段が変わらないぐらいに価値があるようです。

次点で人気の駅は北34条で、地下鉄と幹線道路がクロスしているため車移動と合わせることで行動範囲が広がる点が評価されているようです。ただし駅前は買い物できる直近の店が少なく、駅から1kmぐらい移動する必要があります。そのかわりに住宅街としての機能が中心なので、閑静なエリアということでにぎやかなのが苦手な人向きでしょう。麻生よりも物件の数が少なく、ネット上ではなかなか物件の選択肢が広がらないため、「分譲マンションなら駅チカで1LDK500万～家族向け3DK1000万」ぐらいの予算感で情報収集していくのをオススメします。

北24条は麻生まで終点が伸びるまでは始発駅として機能していたせいか、生活エリアの中に賑わいがあり、「第二のすすきの」と呼ばれるほど充実しています。
さらに北区の区役所があるため、福祉サービスを受けている方など区役所へこまめに行かなければいけない人は選択肢に入れておきましょう。
比較的に分譲マンションは多いのですが、一戸建ての空き家は掘り出し物を待つ必要があります。

北18条、北12条は教育機関が多く、学生で賑わっているエリアなので落ち着いた雰囲気が好きな方には向かないかもしれません。

賃貸は北区全体に多くあるので、お好みの駅でお試し生活を始めてみて住み心地を試すパターンが使えるため、気軽に体験できるのが利点でしょう。

南北線、東豊線、東西線：中央区（さっぽろ大通すすきの中島公園幌平橋（南北線）/さっぽろ大通豊水すすきの（東豊線）/西28丁目円山公園西18丁目大通バスセンター前（東西線））

中央区は名前のとおり、札幌市の中心街として圧倒的な賑わいを見せるエリアです。
すべての路線が停車する唯一の駅である大通を軸に、南北線と東豊線は盛り場としての機能が強く、東西線は落ち着いた郊外の機能も持ち合わせるという、利用する地下鉄によってイメージが変わるのも特徴的。
さっぽろ駅は地下鉄、漢字で札幌だとJRという違いも覚えておきましょう。

最も注目すべきは、3つの路線と路面電車やバスのハブとなる大通です。観光、ファッション、食事、買い物と何でも揃っており、地下道を完備しているので荒天での移動も苦にならないなど圧倒的な便利さを誇ります。その反面として一軒家の空き家はまず見つからないため、空き家探しはマンションを選ぶことになります。発展しているエリアでの物件ということで、専有面積が広くても1Kで1000万円前後、とスタート指標となるお値段が高めですが、2LDKまで広げても1500万円まで行かないなど「一定額を超えると条件が良くなってもお値段の伸び率が鈍化する」という特徴があります。

すすきのは夜の街という面が強いため、夕方から夜はかなり賑わいます。住むというよりは遊びに行く場所なので、強いこだわりがなければ居住エリアの候補から外していいでしょう。物件数の少なさと値段の高さから考えても、住む場所としてはあまり向いていません。

中島公園はすすきのの隣でありながら公園の名のとおりに自然を感じられるエリアであり、文学館や音楽堂もあるなど芸術と相性のいい駅なのですが、物件数は少なめで利便性も良いとは言えないため、足を運ぶ場所として利用しましょう。

幌平橋は南北線で中島公園の隣にある駅ですが、中島公園とワンセットという立地になっており、中島公園を散歩していけば幌平橋に着く、という立ち位置です。中島体育センターという施設の最寄駅となっており、スポーツ観戦が好きな方は施設名をご存じの方も多いはず。物件数は多くはないものの、手頃な価格の分譲マンションがあるので興味がある方は駅名とセットで物件を見比べてみましょう。

豊水すすきのは東豊線で降りられるすすきのエリアなのですが、歓楽街であるすすきのからは位置が離れているせいか落ち着いた雰囲気で、らーめん横丁に近いため好事家が足を運ぶことも多い駅ですが、生活するのにはあまり向いていません。

東西線でアクセスできる西28丁目と円山公園は中央区でありながら高級住宅街として知られ、町並みやお店もハイソサエティかつ大型ショッピングセンターも備えているので、ランクの高い地域を探しているかたは物件を探してみるといいでしょう。ちなみに円山動物園が近くにあるので動物好きにもオススメです。

同じく東西線のバスセンター前はその名の通りバスターミナルが直結しているので、道内のバス移動を一手に担う交通インフラとしての面もあります。

中央区全体の傾向としては、圧倒的に賃貸集合住宅が多く、一軒家の空き家は少ないのが特徴です。分譲マンションは豊富にあるので駅ごとにショッピング環境などのライフラインを確認しながら探してみましょう。

南北線、東豊線：豊平区（中の島駅平岸南平岸（南北線）学園前豊平公園美園月寒中央福住（東豊線））

河川が多く流れるエリアで自然を楽しみたい方に向いているのが豊平区です。代表的なランドマークはサッカーと野球で使われる札幌ドームがあり、試合がある日はファンが押し寄せるため相当な賑わいを見せます。居住エリアとしては割と閑散としており、地元で済ますよりはアクセスを利用して他の駅を利用する暮らしを想定するほうがいいでしょう。物件は単身向けが多く、世帯で住みたい場合は空き家探しに苦労するかもしれません。

主に東豊線での利用が便利で、学園前はその名の通り学生が多く住宅街と学校の共存する駅になります。豊平はイベント施設である「きたえーる」に直結しているため、イベントが開催されるとかなり混み合います。

美園は電車だけでなく環状線があるため車でのアクセスも可能な交通の要所で、住宅地として選びやすいのが特徴です。また豊平区役所があるので何かと立ち寄ることが多い方もいるでしょう。

月寒中央と福住は札幌ドームに近いことと終点駅（福住）ということもあって、利用者が多めです。大型スーパーもあり住環境としても充実しているため、駅からのアクセス次第では有力な候補になりえます。なお札幌ドームは駅から比較的離れているので、最寄りと言ってもそこそこ歩く必要があるので注意しましょう。

賃貸物件と分譲マンションが同じぐらいの比率で分布しており、一軒家の空き家自体はかなり少ないため、ポジティブに考えるなら除雪の処理を考えなくていいエリアです。他のエリアと比べて特筆するほど住みやすいと言うことも無いので、東豊線を利用したい方以外はあまり注力しないで大丈夫でしょう。

物件の充実度で言うと福住が圧倒的に多く、マンションは20、一戸建ては36前後と「住みやすい駅に住んでみませんか」というメッセージを感じます。
終点駅という利便性を考えても、先に福住の情報を洗うほうが良さそうです。

東西線：西区（宮の沢発寒南琴似二十四軒）

宮の沢は地下鉄の延長により終点駅となった比較的歴史の浅い駅で、ご当地銘菓である「白い恋人」とサッカーチーム「コンサドーレ札幌」が絡む観光駅の側面が大きいです。

発寒南は延長の中間を埋めるために出来た駅ですが、住環境はかなり評判が高く治安もいいのですが、どちらかというと単身者向けの物件が中心です。

琴似は西区の中心に当たる場所で、以前はこの駅が終点でした。JRやバスと連係できるため道内の移動に便利ですが、JRと地下鉄のあいだに距離があるのが欠点。住環境が充実しているのと、西区の区役所があるため何かと便利なので、西区の中では候補地として真っ先に調べたい駅になります。

この3駅を住む前提で比較してみると宮の沢と発寒南は一軒家が多めで、マンションは琴似が圧倒的に多いという傾向です。琴似をサンプルにするのであれば徒歩4分のワンルームが150万円で手に入る、という価格帯ですが、間取りとともに値段が上がっていく、いわゆる普通の相場感覚になっており、3LDKなら1680万円ほどになります。

二十四軒は地名の成り立ちが家の数、というぐらいに閑散としていたらしいのですが、いまは民家や団地が並んでいる住宅街です。ただし買い物しやすい環境ではないので、他のエリアを活用する必要があります。ストロングポイントとしては札幌中の地下鉄が利用する車両基地があるため、他の路線の車両も見られるという点には、電車好きなら価値がわかるでしょう。ただし物件がほぼ出回っていないため、近くの駅から足を伸ばしていくほうが良さそうです。

東西線：白石区（菊水東札幌白石南郷7丁目南郷13丁目南郷18丁目）

東西線だけが走っているエリアで、オススメしたいのは菊水と東札幌です。この2つのエリアは住環境とショッピングの利便性が両立しており、どちらも中央区の大通に近いこともあり人気がありますが、物件は賃貸が中心となります。空き家とマンションもそれなりにありますが、納得する物件を探すにはつぶさに情報をチェックしましょう。

東西線：厚別区（大谷地ひばりヶ丘新さっぽろ）

厚別区は東西線の端っこになりますが、どの駅も魅力的な環境なこともあり、空いている物件は少なめです。

大谷地は乗り換えが便利なのとコンサドーレ札幌のお膝元ということで試合の時は盛り上がり、普段はベッドタウンとして機能するなど二面性があります。札幌ドームへの直行バスも出ているとのことで、スポーツ観戦が好きな方にオススメです。

ひばりが丘は住宅街として知られており、閑静な環境ということで静かに暮らしたい人に人気です。新さっぽろは終点駅であるということと、副都心としての機能、JRに接続しているため千歳空港へのアクセスがしやすいこともあるなどストロングポイントが多く、地元に水族館や科学館があるのでファミリー層は狙い目でしょう。厚別区自体がやや狭いエリアのため、物件自体は少なめなので、地下鉄依存で考えると住みにくいかもしれないのが難点です。

南北線：南区（澄川自衛隊前真駒内）

札幌市の60％を締める南区ですが、地下鉄が乗り入れているのはほんの端っこ、という立地になります。そのかわりに一軒家の空き家が圧倒的に多く、自然に囲まれていることやスキーなどを楽しめるという利点があります。ただし地下鉄だけで完結できないという点から、自家用車を併用して暮らすことを考えなければいけないでしょう。ショッピングや食事も万全とはいえないので、利便性を求めるのではなく北海道らしい自然に囲まれて暮らしたい、という方向けです。

結局、札幌市ならではの仕事はあるのか？

結論から言えば、札幌に移住しての仕事選びはアリですが、札幌でなければ出来ない仕事はとても少ないです。

求人サイトの検索によっては非常にばらつきがあり、職種を問わずに探すと1400件～12万件という振れ幅での検索結果になり、その上で職種を選んでみてもキーワードによっては希望の職種の内容ではなく、最寄りの施設や職業に関連した施設などの情報が混ざるなど、精査しないと「自分のやりたい」と「職場が求めている人材」がマッチしません。

部分的な例を挙げて札幌らしい仕事を紹介するのであれば、観光地やリゾートとしての札幌ではスキー場や遊園地などに住居付きで仕事するという住み込み系の仕事は多く見つかります。なので現地で仕事をしながら季節を過ごし、インカムを得ながら土地柄を知るといった方法が選べるのは強みです。

また初音ミクで知られるクリプトン・フューチャー・メディア社では音響系やゲーム系の仕事もあるため、企業愛がある方でスキルを持っているなら移住と転職を叶えることも出来ます。また比較的都市部での仕事になるため、出勤するパターンも在宅でもパターンもこなせる仕事がこの状況下では求められるでしょう。

逆に厳しいのは旅行系、ホテル系、ブライダル系です。2022年3月時点での募集はかなりあるのですが、「コロナ明けに備えて準備し、盛り上げていきましょう」というモデルが多く、コロナの収束が解らないタイミングでは継続した勤務や契約が続くかは会社の体力に依るので、コロナが明けたらすぐ万全の体制で再開とはいかないこともイメージすると、選択に入らない場合があります。

北海道の最低賃金は全国的に見ても低めで、家賃などが安いことで圧倒的にコストダウンを支えてくれることから移住しての仕事探しでスキルアップ自体はアリなのですが、一般事務や企画・マーケティングと言った一般企業の募集が多く、土地柄ならではの仕事は少数なこともデータから見えるため、極端にスキルを必要としない代わりに身につくスキルも特化しない、という結論となります。

一般就職よりは起業支援などを利用してコストダウンしながら立ち上げてみるというチャレンジャーの方が恩恵を受けやすいでしょう。

■文/編集：鶴岡八幡