目次 [非表示]
1:あまり不動産や物件に詳しくない人でも役に立ち、楽しく読めること
2:できる/できないは別として、アプローチできる可能性について提案する
3:問題と思われる情報を記事に含んだ時点で、問題解決に向けての話もする
■なぜ空き家に関してのコラムが始まったのか
空き家に関してのコラムをお願いします、ということで連載執筆をお願いされた鶴岡八幡と申します。何でも書くよ、だいたいのことは解るよ! というのがウリで、面白かったり必要な情報が集まっていたりという作風から指名をいただきました。
「不動産案件は、過去に個人所有の大型マンション2棟をどうやってリフォームして引き渡すかのレポートをまとめたくらいですね……」と回答したところ「問題ないです、書いてください。」という、軽率に人類救済を任されるノリで依頼を頂いたので、書き始めました。
コラムのテーマは3つあります。
1:あまり不動産や物件に詳しくない人でも役に立ち、楽しく読めること
不動産関係の情報を探っていて思ったのが、「顧客や家主にアピールしたい!」という情報が多く、実用的ではあるものの、すべてにおいて「基本情報は知っている前提」という文面が多いということです。
もちろん特定分野で需要に応えるため、必要な情報が入っているのはありがたいのですが、マッチしなかったときに「無駄な時間を過ごしたかも」と思うと、そのサイトからは情報を集めなくなる経験則があるので、このコラムは情報に加えて「面白い」ことが必要だなというスタンスになります。自分にマッチしない情報でも、読んでみて役に立つ上で面白ければ、「あのサイトも見ておこう」となるのが、読者心理なのです。
2:できる/できないは別として、アプローチできる可能性について提案する
自分は「工事費がいくらかかるか?」「その物件に適応できるか?」は物件を見てみないことには解らない部分なので、お見積りに関しては「場合による」という回答しか出せないため触れません。
その代わりに「このエリア」は「こういう土地柄でこういう傾向がある」ので「こういう物件が現状ある」状況を「こういうリノベーション(目的に応じた改築)したら需要がある?」というアプローチで提案していきます。
もちろん現地でのロケハンは現時点ではできないことや、インフラ以外の環境(コンビニやスーパー、ショップなど)は場合によってはなくなる可能性のあるものなので、執筆時の情報を元にデータからひねり出します。「実際のロケハンがあると嬉しいなあ!」という声がありましたら、編集部と相談して実装できるといいな(無言の圧力)。
3:問題と思われる情報を記事に含んだ時点で、問題解決に向けての話もする
良いことばかりを書いていると、実際に掲載したエリアに興味を持たれた方が「住んでみたり、調べてみたらこんな問題があるじゃないですかーヤダー!」となるのは良くないので、想定しうる問題点が合った場合は文中で指摘し、指摘した以上は解決案や代替案を出して、「せっかく住むならよりよい環境がいいよね」という、住む人にとっては当たり前の話を念頭に置いて執筆します。
いきなり言われても、という自治体やエリアの方もいるかもしれませんが、連載を重ねていくことで実績となり、きちんと情報に基づいて解決案を出せれば「解決したほうが良くなる」という説得力を持つという他分野での実体験があるので、そのスキルを活かして記事にさせていただきます。
それでは、これから長いおつきあいになるとは思いますが、お楽しみください。
■いま”空き家”はどういう状況なのか
2022年2月現在、日本国内の空き家、つまり住人が居ない物件の数は増え続けています。ざっくりした数字ですが、国内にある物件が6000万として、13%は空き家という計算です。単純に800万オーバーの空き家があるとお伝えすれば、「結構多いな」という感覚が掴めると思います。
この中で面白いのは、集合住宅(マンションやアパート)が約半数を占めていることです。集合住宅は1人でも居住者がいれば「空き家」としてカウントされないので、居住者がいる限りは売買できないんですね。これは地上げの時代に知ったテクニックなのですが、住み続けることで買取価格が上がるので、「家賃なしギャラありで住み続けるバイトvs地上げ屋が各フロアの廊下に放ったドーベルマン」というドラマもあるのですが、これはまた別のお話。
なぜ空き家が増えるかの原因をかんたんにお伝えすると、少子高齢化の影響がとても大きいです。これは時代の流れでもあるのですが、お年寄りが増えることで介護が必要になったとき、自宅介護ではなく老人福祉施設に入ることが多くなったため、独居されてる方の物件がそのまま空き家にシフトします。
また固定資産税の問題もあり、所有する土地の上に建物があれば税が軽減化されるという仕組みがあったことから、空き家にしていたほうがいいよね、という判断でそのままにされる流れがありました。
その結果として「存在はしているが、使われていない」物件である空き家が全国的に増えていき、国が「これはなんとかしないとヤバイ」となって、2015年に「空き家対策特別措置法」が生まれました。特定の空き家に対して修繕や撤去の指示をし、従わなかった場合は行政が撤去したうえで持ち主に費用を請求できる形にしたのです。
ではなぜ、”空き家はやばい”と判断されたのでしょうか。
空き家があることについての問題点
なぜ空き家は問題視されるかについて、端的に説明していきます。問題は以下の通りです。
・誰も住んでいない家があると、そこに人がいないことで何らかの事件、事故が発生する。
無許可で侵入して住む人や放火などの事件が発生しても、その家には誰もいないので、対処できないと考えると、治安が悪くなるのがイメージできるでしょうか。
1件だけではなく何件も空き家が集中しており、管理されてないとなると、住民同士のコミュニケーションも途切れる空白地帯が生まれ、空き家の数だけ問題が起きやすいのです。
割れ窓効果と同じで、治安が悪くなるきっかけがあると、そのエリアは修繕しない限り治安が悪化することが懸念されます。
・メンテナンスの問題として、人が住んでいる家は手入れされるが、居ない家はあっという間に老朽化する。
住人は自分の家を暮らしやすくするために、生活の中で家の手入れをしますが、空き家であれば当然手入れは管理業者などに任せるなどしないと行われません。
メンテナンスをしない家は驚くほど早く劣化します。なので家には人が住んでいることが大事になるわけです。
とはいえ、家主さんも好きで住まわせてないのではありません。理由は以下の3つです。
1:土地を含めて所有している場合、建物があると固定資産税を減税できる
2:売却する場合は貸してしまうと相続の際に免税が受けられない(平成28年4月1日から令和5年12月31日まで)
3:そもそも使いみちがない物件なので、どうしようもない(思いつかない)
ただし新しい法律が出現し、相続の際の免税も期限が決まっていることから、空き家を持つリスクのほうが強いため、空き家の運用が必要となるのです。
これからの空き家はどうしていくべきか?
当コラムでは“空き家を持つ人”と“空き家を借りたい人”両方の視点を元に、以下のポイントを押さえて提案していきます。
・都道府県の中でも地域差があり、訴求するストロングポイントがちがう。
・その上で、そのエリアにマッチするであろうリノベーションをすることで、空き家が減るのでは?
・ハウスシェアが今は流行ですが、そこに加えて今後の変化を考えていくと「1人1件、もしくは特定の人と二人で暮らすためのリノベーション」も見えてくるのでは?
・自分がこのエリアに住むならというリノベーションを貸主に提案して、月額賃料に乗せてもらって「空き家の活用」&「住みたい家を借りれる」という、双方にとってのメリット
が、今後の空き家問題を解決し、1人1部屋の感覚で「1人1件」「1人1フロア」ぐらいがフィットするのではと考えました。
日本全国を網羅し、取り上げる地域の範囲でどういった提案ができるかをしていきますので、楽しんでいただきつつ、ヒントになれば幸いです。
法改正などで運用が代わってくる場合は、柔軟に速報として取り上げ、お伝えしますので、末永くよろしくお願いいたします。
■文・構成:鶴岡八幡