こだわり珈琲や手作りスイーツも楽しめる
JR茨木駅の北西部、国道171号線から勝尾寺川を挟んだ南側に、かつて京都と西宮を結んだ西国街道がある。現、宿川原町という町名になっている郡山宿は、その街道の中でもほぼ中央に位置し、街道の重要な役割を果たしていた。今では、西国大名が参勤交代時に宿泊した本陣跡が国の史跡に指定されており往時を偲ぶ建物が現存しているものの、街道沿いにあった商家や民家は時代の流れとともに、現代風の家屋にその姿を変えている。
その西国街道にあって、築200年の民家を約3年がかりで店主自らがリノベーション。本と珈琲が楽しめる古民家カフェ「土かべ文庫」として今年3月にオープンした。まるで田舎のおばあちゃん家に遊びに来たような店内の居心地のよさなどが口コミやSNSで広がり、いつしか地元のみならず遠方からのお客さんも訪れる隠れ家的人気スポットに。本好きな人たちを中心に静かなブームになりつつある。
「たまたま不動産屋さんでこの物件を見つけて…。当初は建て替えるつもりが、この古民家の雰囲気が気に入りセルフリフォームすることにしました」と店主。2019年にこの建物に出会って以来約3年間、専門技術のいる屋根部分と傾きの修正を除き、すべて自分で手作りしたそう。「壁や床、棚、テーブル、椅子などもホームセンターで材料買ってきて作ったり、屋内の電気工事もこのために資格取って自分で配線したり…」と、そのリフォームのプロセスも苦ではなく楽しかったよう。今でも何かしら手作りアイテムを加えているそうで、リフォーム作業にゴールはなさそうだ。
店内に入るとかつて土間だったところに手作りのテーブルと椅子があり、右手には靴を脱いで上がる居間がある。居間には掘りごたつ式のテーブルやソファがあり、思い思いの場所で本とドリンクが楽しめる。本棚には、閲覧と気に入れば購入もできる古本コーナー、閲覧のみのコーナー、店主がセレクトした新刊本コーナーがあり、すべて自由に閲覧できる。現在は5000冊ほどが常設されているそう。
「もともと趣味で集めていた雑誌や専門誌、本が多いのですが、まだ倉庫には整理していない本もあり、さらにお客さんから古本を寄贈されることもあって、増えていく一方です」と、苦笑い。
●こだわり珈琲や手作りスイーツも楽しめる
オーダーごとに一杯ずつたてるこだわりの珈琲をはじめ、水出しアイスコーヒーや手作りチーズケーキ、ドーナツなど、古民家の雰囲気だけでなくその味にもリピーターが多い。特に手作りドーナツはファンも多く、数量限定なので早めになくなることもあるほどだ。オープンからまだ3カ月あまりだが、徐々にSNSなどで評判が広がり、またリピーターも増えているそう。「こちらでは時間を気にせず、好きな本を手に取って親しみながら、ゆっくりと長居してもらうとうれしいです」と店主。本を読みながらくつろいでいるお客さんを見るのが心から楽しいようだ。
「土かべ文庫」には専用駐車場や近所に有料駐車場もないので車で行くのは厳しいが、大阪モノレール豊川駅から西国街道を歩いて20分ほどのアクセス。旧街道の風情も楽しみながら、ゆっくり歩いて訪れるのがおすすめだ(店へのアクセスは公式Instagramでも案内)。現在は金・土曜のみの営業なので、週末の楽しみなお出かけ先として散策がてら訪れてみてはいかが。
<MENU>
コーヒー(一杯仕立て) 330円
水出しアイスコーヒー 330円
カフェラテ(ホット/アイス) 440円
ストレート フレーバーティー(ホット/アイス) 330円
ベイクドチーズケーキ 550円
シフォンケーキ 550円
ドーナツ(シナモン・抹茶) 各165円/(ダブルチョコレート) 198円
アイスフラベチーノ(モカ・抹茶・紅茶) 495円
ほか
※すべて店内税込価格、テイクアウトの場合は価格変動あり
『土かべ文庫』
大阪府茨木市宿川原町10-17
アクセス:大阪モノレール豊川駅より西国街道を徒歩約20分
金・土曜営業 11:00~18:00
公式Instagramをチェック!
https://www.instagram.com/tsuchikabe_bunko/取材・文・撮影/滝野利喜雄
宿場町の趣を残す茨木市旧街道沿いの本と過ごす #古民家カフェ「#土かべ文庫」が人気! | ぴあ株式会社