筆づくりを始めて104年目を迎えた文進堂畑製筆所(創業は94年目)。代表の畑義幸は川尻筆伝統工芸⼠(第一号)。川尻筆は日本の四大筆の一つとされ、中でも、書家完全オーダーメイドで制作する文進堂畑製筆所は日本随一の筆として書家が信頼を寄せる。
その理由は、皇室からも認められる数々のタイトルを受賞してきた経歴のみならず、希少な原⽑をつかい、一子相伝で筆に命を吹き込む技。技を受け継ぎ、進化を続ける文進堂畑製筆所が2023年2月、築100年を超える工房兼住居の一部を改修し、筆づくりが体験できるショールームを常設した。
2020年に川尻筆の技法「先ズラシ」を使った世界で唯一の化粧筆を発売したところ国内外のブラシファンの目に留まり150本の先行販売商品が完売状態となった。2021年にはニューヨークの著名経済メディア「Buisiness Insider」の取材を期に着実に海外ファンを獲得し、「筆づくりを体験したい」という海外より多く声が聞かれるようになった。2023年、コアなファンたちの声にこたえる形で体験型ショールームを設営した。
川尻筆の技法「先ズラシ」を使った化粧筆を制作したきっかけは2020年1月、企画を担当する畑友里が日本貿易機構の研修でフランスに訪れた際に、ラグジュアリーブランドの本店と化粧品専門店舗へ2011年に限定制作した化粧筆を持参してメイクアップアーティストに感想を聞いたところ、「これはすごいよ。素晴らしい。どこで買えるんだ?」という、予想を上回る反響だった。
発売した化粧筆は当初国内の女性をターゲットに想定していたが、伝統技法を全て駆使した職人が一貫制作する高級な化粧筆がこれまでに無かったことが追い風になり海外でも⽕がつき即完売となった。制作工程の一部をインスタグラムで開示したことも注目を集めるきっかけとなった。
完売した化粧筆:Akatsuki
また、BuisinessInsiderの取材動画はyoutubeにアップロードされ、海外から「マスターに習いたい」「いつか文進堂に行きます」という反響が更に増えることとなった。先祖から受け継ぎ守ってきた家屋を伝統的建築要素を残し革新的な新しいデザインを入れて改修するため、文進堂畑製筆所の筆づくりを深く理解する設計⼠Telaco.に依頼しパースデザインを見て即決。無事に改修を完了した。
懐かしさを残した空間
舎の小さな工房で魂を込めて制作する文進堂の川尻筆。筆は職人によって一度目の命が吹き込まれ、使い手によって⼆度目の命が吹き込まれる。命を吹き込むホンモノの筆づくり文化を体験してほしい。■筆づくり体験
≪基本プラン≫
1.5時間
1名20,000円(保険込み)
▽内容
伝統工芸⼠畑義幸、畑幸壯から川尻筆の伝統製筆の5工程を教わり制作体験ができる。自分でフ海苔を使ってノリ固めをした小筆を持って帰ることができ、ショールーム内で10,000円分のお買物が可能。
※完全予約制で予約サイトは3月中旬頃オープン予定
※1グループ6名まで
※オーダーメイドプランは要問合せ
※プランは予告なしに変更する可能性あり