築50年以上が経過したコンクリート構造物を新耐震基準同等の耐力に補強し開業
SGエンジニアリング株式会社(本社:広島市、以下、「当社」)が開発したIPH工法(Inside Pressure Hardening/樹脂注入による内圧充填接合補強)がコンバージョン建築(用途変更を伴うリノベーション)事業で活用された。保存が望まれる構造物、経年劣化に伴う部材耐力の低下がみられる構造物などを対象とした建築分野でのIPH工法の普及を目的に動画を公開している。
https://log.sge-iph.com/lp1/
- 老朽建築物の再生とIPH工法
2018年12月、尾道千光寺につながる坂道の途中に、ホテルやカフェギャラリーなどを有する複合施設「LOG」がオープンしました。築50年の集合住宅をコンバージョン(既存の建物を改修、用途変更すること。用途変更まで行わない改修はリノベーション)して生まれたLOG。観光客と地元の人が気軽に立ち寄れる、新たな地方創生の場として親しまれています。このプロジェクトで活用されたのが、当社のIPH工法です。
https://l-og.jp/
- プロジェクトの概要
所在地 :広島県尾道市
構造 :鉄筋コンクリート造、地上3階
延床面積:1,180㎡
開業 :2018年12月
改修前 :集合住宅、1963年建造、旧耐震基準で設計
運営 :TLB株式会社(常石グループ)現在のLOG、かつて「新道アパート」と呼ばれた集合住宅が建造されたのは1963年。
新婚カップルにとっては「憧れ」だった建物ですが、2014年、建造から50年以上経過した「新道アパート」の建物の診断を行ったところ、コンクリートに無数の穴が開いて劣化し、想定以上に危険な状態でした。(旧耐震基準で設計されていたため構造の専門家による耐震診断を実施)
診断を行ったカナイ建築構造事務所の近松専務によれば、
「 IPH工法が無ければLOGは取り壊すしかなかった 」
とのことで、具体的には以下のような状態でした。
・元のコンクリートが劣化しているので、鉄骨を追加したとしても鉄骨が残ってコンクリートが崩壊する恐れがあった
・工事現場までは尾道特有の細い通路、階段で、車両や重機が入れず、断念する工事会社もあった
・住宅密集地で大きな音や粉塵が出る工法は採用できなかった
そんな難しい状況で採用されたのがIPH工法です。