日本は変化の波に常に揺さぶられており、不動産業界も例外ではありません。特に、「定期借家物件」の市場は過去数年間で大きな変化を見せています。そこで、定期借家物件の募集家賃の動向を分析し、今後の展望を探るべく、以下に詳細を。
近年、都市部の不動産市場における「定期借家」制度の普及が目覚ましいです。これは賃貸借契約が一定期間限定(通常2年から5年)で行われ、期間満了時には必ず退去となる制度です。こうした契約形態は、投資家にとってはリスク管理の一環として、また、都市部での居住の柔軟性を求める借り手にとっては新たな選択肢として評価されています。
その一方で、定期借家物件の家賃の動向には注目すべきトレンドが見られます。その中でも、短期的な供給・需要の変動による影響が大きいと言えるでしょう。
2022年度(2022年4月~2023年3月)の定期借家物件の募集家賃動向について、アットホームが公表した指標によると。
<首都圏の全体概況>
- 定期借家マンションの平均募集家賃は前年度比で概ね上昇傾向。上昇率は、全体的にシングル向きが低くファミリー向きが高い。
- 定期借家アパートの平均募集家賃も概ね上昇傾向。マンション同様、ファミリー向きの上昇が目立ち、全エリアで前年度比上昇。
- シングル向きアパートの定期借家は、建替えを前提とした築古物件が多い。収益物件で定期借家契約を活用するケースも。
<調査概要>
◆対象エリア
首都圏(東京23区、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県)、および参考で北海道札幌市、宮城県仙台市、愛知県名古屋市、大阪府大阪市、 福岡県福岡市
◆対象データ
不動産情報サイト アットホームで登録・公開された居住用賃貸物件(重複物件はユニーク化)
◆定義
・本調査では、入居者が1カ月に支払う「賃料+管理費・共益費等」を「家賃」としています。
・コメントでは、30㎡以下を「シングル向き」、30㎡~50㎡以下を「カップル向き」、50㎡~70㎡以下を「ファミリー向き」、70㎡超を「大型ファミリー向き」としています。
◆詳しくは、下記URLよりPDFをダウンロードしてご覧ください。
https://athome-inc.jp/news/data/market/teikishakuya-yachin-2022/
また、供給面においては、定期借家制度の導入が広がりつつある一方で、物件所有者や運用者が最初の投資回収を計画する際の課題が浮き彫りになっています。これが募集家賃の上昇を引き起こす要因の一つです。加えて、不動産の維持・管理コストの上昇も家賃の上昇を後押ししています。