空き家問題に直面したらどうするべき?「第22回税制調査会」から読み解く今後の空き家問題のゆくえとは【アキヤリノバコラム】 #空き家 #空き家問題 #第22回税制調査会 #固定資産税

令和4年11月8日、内閣府が主催する審議会の1つである「第22回税制調査会」が開催されました。いわゆる政府税制調査会は税負担について活発な議論を重ね、今後の税制がどうあるべきか議論を重ねる場です。毎年税制調査会が開かれると今後の税制についての「予報」の役割も果たすことから大きなニュースとなりますが、今年の税制調査会では「空き家問題」について固定資産税の視点で議論が重ねられました。税制調査会での議論は市民生活に大きな影響をもたらすため、改めて本記事で空き家問題について税制の視点から解説します。

第22回税制調査会で議論された「空き家問題」とは

空き家は相続人不明や侵入における窃盗、火災のリスク、雑草や害虫の発生による周辺環境への影響など色んな問題を抱えています。では、今回の第22回税制調査会では一体どんな視点から空き家問題が議論されたのでしょうか。今回の税制調査会では、資産課税についての議論の中で空き家問題が登場しました。税制の議論の中では以前より「固定資産税のあり方」についても議論が活発に行われており、空き家問題についても固定資産税の視点から今後の対応の協議が行われました。総務省説明資料の中では「空家・所有者不明土地に係る対応」(原文ママ)にてまとめられており、管理が不全状態である空き家や所有者が不明の土地を早期に解決していくために、固定資産税・都市計画税について平成27年5月に施行された「住宅用地特例の除外」の運用状況が報告されています。では、住宅用地特例の除外とはどんなしくみでしょうか。

住宅用地特例の除外とは

住宅用地にはそもそも税金上の優遇措置が設けられていることをご存知でしょうか。この優遇措置を「住宅用地の特例」と呼びます。住まいを維持していく上で税負担が重くなり過ぎないように、住宅用地には固定資産税の特例措置が設けられています。小規模住宅用地(※1)に対しては評価額の6分の1、一般住宅用地(※2)に対しては評価額の3分の1が軽減割合として定められており、税金の軽減が実施されています。住宅用地特例の除外とは、この優遇措置をやめる、という意味です。空き家問題を解決するために制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」において、何かしらの対処が必要と思われる住まいについては税金の軽減措置を除外が決定し、事実上の増税に転じました。よく空き家は固定資産税が6倍になる、と言われていますが、小規模住宅用地の場合に6分の1の特例がなくなってしまうためなのです。今回の税制調査会では、この住宅用地特例の除外についての自治体における適用実績が報告されました。

(※1)小規模住宅用地
200平方メートル以下の住宅用地を指す。200平方メートルを超える場合住まい一戸につき200平方メートルでも可。

(※2)一般住宅用地
小規模住宅用地以外を指す。例として、400平方メートルの住まいの場合、200平方メートル部分は小規模住宅用地、残りの200平方メートルは一般住宅用地とする。

放置されている空き家への勧告は増加している

管理不全の空き家にはさまざまな問題が起きやすく、全国の各自治体としては早期の解決を促したいと考えています。そこで、市町村長が「空家等対策の推進に関する特別措置法」をもとに、特定空家に対して所有者や管理者に対し、「早期に必要な措置を講じる」ように助言や指導を行い、段階的に勧告や命令も行えるようになりました。命令を経ても改善しない場合は行政代執行が行われます。

勧告後には「住宅用地特例の除外」を実施される流れです。令和2年度は勧告実績が44市町村、対象者は233人でしたが令和3年度には57市町村、対象者も276人と増加しています。今後も市町村長による特定空家への勧告は増加することが予想できます。空き家の所有者や管理者は固定資産税の重い負担、行政からの度重なる指導を考えると、早期に解決に向けて活動を開始する必要があります。

参考URL 内閣府 第22回 税制調査会(2022年11月8日)総務省説明資料【資産課税(固定資産税等)】

空き家問題は市町村にとっても重い課題

続いて、今回の税制調査会では、各市町村が空き家の所有者の特定に非常に重い事務負担を強いられていることを報告しています。空き家の所有者は主に「相続人」ですが、相続人を特定するためには戸籍謄本を辿る必要がある上、相続人が死去している場合はさらに枝分かれするように相続人が増加していることも考えられます。特に現在、相続はすでに「老々相続」が増加の一途を辿っており、相続人の高齢化による相続件数の増加が懸念されています。しかし、空き家の所有者が特定できないと、固定資産税を支払ってもらえず課税が不公平となってしまいます。そこで、自治体は重い事務負担が増えるものの、所有者が特定できない場合は現地調査などを重ね「使用者に課税する」ことができるようになりました。(令和2年度税制改正)

しかし、事務負担の軽減を考えるとただ調査を重ねて所有者や使用者を特定し課税するだけではなく、空き家問題の抜本的な解決を目指し、「空き家バンク」の活用促進や移住促進などの視点でも取り組みを強化することが必要と考えられます。

相続人として空き家問題解決に向けてすべきこととは

自治体による空き家問題の解決方法をここで再度まとめてみましょう。

  • 法律をもとにした空き家所有者への勧告の拡大、住宅用地特例の除外の促進
  • 課税調査
  • 空き家バンクや移住促進の活動の強化

では、主に空き家の所有者となる相続人は、問題の解決に向けて何をするべきでしょうか。解決のポイントは2つに分けられます。まずは1つ目は「相続前に解決を目指す」ことです。令和6年4月から相続登記が義務化されます。空き家を相続登記せずに放置すると法律違反となり、10万以下の過料が発生します。そうなる前に、空き家となり得る住まいがすでにあるなら、以下の方法を模索してみましょう。

  • 空き家の次期所有者を家族間で話し合い、放置しないようにする
  • 空き家の売却・賃貸・レンタル・解体など活用方法を模索する
  • 老々相続が予想される場合、さらにその後の相続も見越しておく

相続前に円満に話し合い、空き家の活用や解体などを模索しておくと、急な相続の発生にもうろたえずに対処ができます。次に2つ目は「相続後速やかに対処する」ことです。先にも触れたように、間もなく相続登記が義務化される以上、放置は避けなければなりません。相続後に空き家があった場合には、相続登記を経ることで賃貸やレンタル、売却を目指すことができます。相続後の空き家の売却には一定の条件を満たせば税制特例もあります。とにかく放置が一番のリスクとなる、ということを覚えておきましょう。

まとめ

この記事では「第22回税制調査会」の資料をもとに、空き家問題を主に税制の視点から詳しく解説しました。市町村長による空き家問題解決への勧告や、相続人調査の強化が予想される今、相続人や推定相続人(今後相続する可能性がある方)は早期に問題解決に向けて活動を開始することが望ましいでしょう。空き家を放置することなく、売却や活用を視野にご検討されてみてはいかがでしょうか。

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