目次 [非表示]
- いまこそ空き家を調べる時期
- 感染拡大に対して慎重に
- そもそも春をすぎるまでは動かないほうがいい
- 自分の知りたい自治体の「空き家バンク」を検索すること
- 「空き家バンク」に登録されている情報/登録する情報
- 年度内に決めるか、年度明けを待つかで変わる要素
いまこそ空き家を調べる時期
原稿執筆時である2022年2月7日現在、同年3月6日まではまん延防止措置が延長され、まだ自由に出かけられるタイミングは先になりそうです。
ですが逆転の発想として、「家から出ないで空き家の情報を仕入れて、善き頃を見計らってアレコレしよう!」という天の声かもしれない、というお話をしていきます。
新型コロナウイルスの感染拡大に関して、見える化している事例がありますので、簡単にお伝えしましょう。
感染拡大に対して慎重に
新型コロナウイルスは新規の病気として、普通の保険では対応できていませんでしたが、感染に対応した保険を各社がスタートし、低額の保険料で感染時には一時金が出るというものが中心に人気を集めました。
病床が埋まっている状態で、入院が難しい自宅待機でも支給されるため、コロナになってしまったら物理的に出勤できないなど、時給で収入を得ている方にとってはありがたい保険です。
しかし2月の時点で新規加入停止や支払う保険料の引き上げなどが一斉に始まるなど「最初に想定していた保険料で一時金をまかなう」というモデルが維持できなくなっています。
そのあいだにオススメしたいのが、できるかぎりの対策をしつつ、「事前に空き家に詳しくなって、動けるタイミングに備えましょう」というのがこの記事のお題です。
そもそも春をすぎるまでは動かないほうがいい
「いい空き家があって、条件が合うならそこに移住したいな」という方の視点になりますが、移住するには引っ越しが必然的に発生します。
ですが、引っ越しの繁忙期は3月~4月。 入学、入社といった環境の変化のタイミングなので、いわゆるオンシーズンの時期は引越し費用がガッツリ値上がりするわけです。
去年のデータですと新型コロナウィルス感染拡大の状況もあり、例年より3割は引っ越しが減ったとはいえ、オンシーズンとオフシーズン(5月~翌年2月)では値段が段違いです。
仮にA社にお願いします、といったときにワンルームの引っ越しを見積もった場合、オフシーズンが8万円、オンシーズンは13万円、ぐらいの違いがあると思っていただければ、間違いない指標となります。
ちなみに新型コロナウイルスの影響で、東京都23区は転入よりも転出が上回りました。東京都は以前から23区の居住・通勤者を対象に、特定エリアへ転出して起業や就業した場合に移住支援金が出る「地方創生」を推奨していたのですが、転職せずにテレワークで地方から仕事を続ける人も対象となったことが加速を後押ししたようです。通勤リスク、人口密集リスクを回避した上で家賃などのランニングコストを下げて、支援金も出るとなれば「じゃあ引っ越そう」と思う人も必然的に出てきた結果になりました。
その上で2022年の春はオフシーズンに入るまでに、“緊急事態宣言クラスの状況悪化があるかもしれない”と考えつつ、「知っている人にとっては常識かもしれないが、知らない人は不利になる前提知識」からお伝えしていきます。
自分の知りたい自治体の「空き家バンク」を検索すること
移住だけに限らず、空き家の売り買いや借りる案件に関しては、自治体によってサービスの内容が大きく変わります。0か1かではなく、0~100ぐらいの幅を見てください。
なので「空き家の情報は自治体とセット」というところからスタートになります。
・自分が興味を持っている都道府県を選択
・住みたいエリアの自治体を確認
・国土交通省の一覧で都道府県から自治体を選択して情報を確認
売り買いだけでなく、空き家を提供する上で必要になる“耐震対策の有無”でリフォーム/リノベーション、更地にするなど選択肢はいろいろあるのですが、すべて該当自治体に「援助や控除の措置」の有無を確認することが大事です。
このときに活躍するのが「空き家バンク」という国土交通省が自治体と運営しているシステムです。国土交通省がデータベース化している空き家の情報が、自治体単位で掲載されているので、下調べとしては見ておくことに損はありません。
ただし注意点が2つあります。
1つめは、自治体が参加していないエリアがあることです。必然的に掲載されないため、ここにはない物件も存在します。あくまで自治体に寄せられた情報をまとめてあるだけなので、掲載していない自治体に興味がある方は別途探し方が必要になります。
2つ目は、登録されている物件がすぐ住めるわけではないということです。空き家にする予定、という意志があれば申し込むことが可能なので、「この空き家いいなー!」と思って調べてみたらまだ取引できない、という場合がありますので、前提として「すぐ住める」とは思わないようにしましょう。逆にデータが古いものもあり、すでに決まってしまっているのにデータを下げていない、ということもあります。
「空き家バンク」に登録されている情報/登録する情報
以下の情報が空き家バンクを利用する上で提出義務となっており、住みたい人と空き家を活用したい人が共有する情報になります。
- 空き家バンク登録番号
これは登録する側の情報なので、住みたい人には関係ないので、情報検索用にメモするぐらいで大丈夫です。 - 売却または賃貸の別
売りたいのか、貸したいのかを見ることができます。目的に合わせて合致する物件を選びましょう。 - 所在地(番地は原則として非掲載)
自治体のなかでも、どのあたりにあるのかを知ることができます。離れたエリアから来る人のために、宿泊も想定してゆっくり見て欲しいという自治体もありますが、力を入れているかどうかは自治体によって大きく差があります。 - 売却価格または賃料(所有者の希望額)
価格帯のすり合わせとして、希望額がここにあるので、予算と相談して候補に入れるかどうかを決めましょう。 - 物件の概要 ・利便施設、交通機関等までのアクセス
・使用状況(傷んでいる箇所、リフォーム箇所、アピールポイントなど)
・設備状況(故障や交換が必要な設備、交換済みの設備など)
実際に住んでみたときに感じるであろう物件の良し悪しや利便性、設備などがあります。条件次第では「敷金は要らないから自分でDIYしていいですよ」という場合もあるので、カスタムは自分でしたいという方、もしくはその条件で住人を募集する方はこの項目が重要になります。 - 物件の位置図(地図)
番地は書いていませんが、実際に地図で見たときに周囲がどういう状況なのかなど、立地を見ることができます。 - 間取り図面、敷地利用図面(建物の配置)
物件を扱う上で必要な間取り図、敷地の広さなどの基本情報です。 - 現地の写真
空き家内部がどうなっているかの写真提出が求められるので、この写真を見てから詳細を聞くかどうかを決めましょう。
年度内に決めるか、年度明けを待つかで変わる要素
上記に加えて、「2021年度(2022年3月まで)有効の控除」と「2022年度(4月から)発効の施策」がありますので、決断か様子見かを選ぶことも大事です。
たとえば、今年度内であれば住宅ローンの控除が1%ですが、4月からは控除が0.7%になります。かなりの期間を返済に充てることを考えると、この差額が地味に響いてくるでしょう。すでに目処がついており、手続きできるなら年度内に決めたほうがいいかもしれません。
逆に年度が始まることで発生するのが、生産緑地と呼ばれるエリアの優遇が無くなるための売却です。農業を始めとして「緑地を維持するなら負担を軽減するよ」という措置があったのですが、2022年で失効するため、土地が少なからず売りに出されると予想されます。
国もこのことに関しては問題視しており、10年の特別延長が設けられましたが、土地の所有者が高齢の場合は維持できないため、10年の更新をせずにこの機会に手放すという流れが考えられます。
コロナ問題と相まって「地下の下落」と「軽減の執行」が重なり、掘り出し物の土地が出る可能性があることから、「土地も含めて購入を考えている」という方は販売情報の推移を見てもいいのではないでしょうか。
■文/編集:鶴岡八幡